日本の婚姻制度の問題について声を大にして問いたい。
「事実婚」が認められるなら、「事実離婚」も認めるべきではないでしょうか。
シングルマザーが彼氏と同居をすると「事実婚」状態と見なされて児童扶養手当(母子手当)が止められます。
しかし、DVから逃れて長年別居している「事実離婚」状態の母親がひとりで子供を養育していても、子育て家庭がもらえるはずの「児童手当」はもらえません。世帯主が住民登録をしている自治体でないと申請することができないからです。
それって矛盾していませんか?
事実を優先するのか、紙きれを優先するのか、どっちかにして欲しいです。
今回は、事実婚のメリット・デメリットと日本の婚姻制度の矛盾についてお伝えします。
この記事であなたに伝えたいこと
近年増えている事実婚
慶應大学在学中に開設したブログで1日に47万PVを記録した、元電通社員のカリスマブロガーはあちゅうさんが、今年、人気AV男優のしみけんさんとの事実婚を発表して注目を集めました。
はあちゅうさんがブログやツイッターで発信されている「事実婚」についての情報はとても参考になり、「事実婚」はもはや結婚における選択肢の1つになりつつあるとを感じます。
「事実婚って手続きあるの?」って結構聞かれるので書いておきますね。区役所で職員さんがお互いの本籍地に電話して、独身であるかどうかを確認し、確認後、住民票の続柄に妻(未届)という記載をつけてくれました&保険証の世帯主氏名に彼の名前が入りました。証明書とかは特にないみたいです。
— はあちゅう (@ha_chu) 2018年7月15日
事実婚のメリット
1.事実婚の夫婦も、法律婚の夫婦とほぼ同等の権利・義務を持ちます
①家族として公に認められる権利(携帯会社の家族割引サービスなど)
②事実婚関係を解消した際に財産分与・慰謝料を請求する権利
③養育費を請求する権利(認知された子どもがいる場合)
④同居・扶養・貞操の義務
⑤居住費や生活費などの婚姻費用分担の義務
2.姓を変更する必要がありません
事実婚では夫婦の姓をどちらか一方のものに統一する必要はなく、夫婦別姓のままでいることができます。面倒な姓名変更手続きをしないで済むのです。法律婚の場合、たとえ仕事上では旧姓をつかうとしても、銀行口座やクレジットカード、運転免許証、パスポートなどの公的なものは全て変更手続きをしなければいけません。
ちなみに、わたしは【結婚 → 離婚 → 同じ人と再婚 → 事実離婚】と、姓名変更の手続きを3回経験しているため、ひとつひとつの手続きの大変さはとてもよくわかります。これらの面倒な手続きを省くことができるのであれば、それに越したことはありません。
3.別れても戸籍にバツがつきません
法律婚と違って戸籍に反映されないため、別れたとしても戸籍上はなんの変化もありません。事実婚では、法律婚のようにお互いの親族を巻き込むような姻族関係は発生しないので、親族同士のしがらみなどに縛られず、あくまで個人と個人の結びつきという要素が強くなります。
事実婚のデメリット
1.相続や生命保険、税金の制度で不利になります
年金や健康保険については法律婚と同じですが、所得税の配偶者控除は受けることができません。また夫婦間で相続権がなく、相続したい場合は遺言書が必要になります。生命保険の受取人にも指定しにくいです。
2.急な手術などを要する際、家族として同意書にサインできません
事実上は婚姻と同じ関係にあっても、夫婦と認められない場面が出てきます。夫婦の共有名義で家のローンを組むことはできませんし、急にパートナーが倒れて手術が必要な場合でも、家族として同意書にサインすることはできません。
3.子供の戸籍上の問題があります
事実婚の夫婦に子供が産まれた場合、子供は「非摘出子」として母親の籍に入ることになり、父親は「認知」の手続きが必要となります。父親と母親の姓が異なることで子供がからかわれたり、嫌な思いをする心配もあります。
シングルマザーは彼氏ができると児童扶養手当(母子手当)の支給が止まる!?
シングルマザーは「児童扶養手当(母子手当)」を受給することができます。支えあえる身内がいないと、幼子を抱えた母親は十分に働くことも困難なため、母子ともに経済的に追い詰められるからです。
しかし、児童扶養手当は「ひとり親家庭」に対しての手当なので、もし再婚した時は支給対象から外れます。さらに、再婚だけではなく、交際相手と同居(同棲)した場合も支給が止まります。
シングルマザーの児童扶養手当が止められるのは、なにも彼氏と同居した場合に限りません。自治体により異なりますが、以下のケースで実際に支給が停止となっています。
▶必ず停止:彼氏と同棲(同居)
▶停止の可能性あり:定期的に(月2回以上)彼氏の訪問がある
なんと!彼氏が家に出入りをしているだけで、児童扶養手当の支給が止められる可能性があるのです。
「彼氏が家に出入りしている=金銭的な援助を受けている」と見られるということです。いや、月2回程度訪問をする付き合いたての彼氏が生活費の援助をするなんて、普通に考えにくいでしょう。
それでも、定期的な彼氏の訪問は「事実婚」と同様の状況とみなされてしまい、児童扶養手当の支給が止められてしまうのです。
児童扶養手当証書の注意書きには、こんな記載があります。
■資格喪失
手当を受けている人が下記に該当する場合、手当を受ける資格がなくなりますので、すぐに福祉事務所等へ届出をしてください。
届出をしないまま手当を受給していますと、事由が発生した翌月から受給していた手当を返還していただくことになります。
イ) 手当を受けている父又は母が婚姻した。(内縁関係、同棲、同居など婚姻の届をしていないが事実上婚姻関係と同様の状況になった場合も含みます。)
ロ) 死亡した。
ハ) 日本国内に住所を有しなくなった。
二) 公的年金を受給するようになった。(老齢福祉年金を除きます。)
ホ) 手当の支給の対象となっている児童のすべてが、支給要件に該当しなくなった。
「事実婚」は認められるのに、なぜ「事実離婚」は認められないの?
DVから逃れて長年別居している「事実離婚」状態の女性が、正式な離婚後300日以内に新しいパートナーとの子を出産すると、戸籍上、強制的に元夫の子になります。
「事実」に着目すると、明らかにおかしな話です。
そのような背景で生まれた子供は戸籍を変更する必要があり、戸籍を変更する場合も元夫の署名が必要です。元夫がDVやモラハラなど「攻撃性の高い男性」の場合、子供の戸籍の手続きが進まないことが問題となっています。
離婚に至るまでの別居期間が長ければ婚姻関係が破綻していることは住民票などから証明可能です。長期間の別居生活は裁判において婚姻関係破綻の事由としても認められているのに、なぜここでいきなり紙切れが強制的に優先されるのでしょうか。
しかし、シングルマザーが彼氏と同居すると「事実婚」状態と見なされて児童扶養手当(母子手当)は止められます。
そして、DVから逃れて長年別居している「事実離婚」状態の母親が子供を養育していても、子育て家庭がもらえるはずの「児童手当」はもらえません。世帯主が住民登録をしている自治体でないと申請することができないからです。
実際、わたしは約7年別居生活を送っていますが、現在子供たちと一緒に住んでいる自治体の市役所の児童福祉課で「児童手当はご主人様が住民登録をしている自治体でないと申請することができません」と言われました。
すべてにおいて紙切れによる婚姻関係(法律婚)がなければ効力がないというのであれば百歩譲って理解が出来ますが、そうではないのが大きな矛盾です。
婚姻届を提出しない「事実婚」が認められている昨今、「事実離婚」も認められるべきではないでしょうか。
事実を優先するのか、紙きれを優先するのか、どっちかに欲しい。
そうでなければ、どちらとも認めるべきです。
以上、事実離婚中の親子留学カウンセラーはな(@harunatzy)でした!
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