武力で問題を解決しようとする世界の指導者達に言いたい。
会社などの組織も国も、人によって栄え、人によっては衰退します。国の未来を担う子供たちの教育こそ、国家が最も力を注ぐべきことです。
アメリカのドナルド・トランプ大統領はスティーブ・バノン主席戦略官を国家安全保障会議の常任メンバーに加えました。
トランプ大統領の暴走っぷりは目に余るものがありますが、バノン氏も負けていません。むしろ、トランプ大統領の強硬な政策を主導しているのはバノン氏とも言われています。
今、このバノン氏の発言が世界の注目を集めています。
2016年の大統領選挙でバノン氏はトランプ陣営の選挙活動の本部長に起用されましたが、その数ヶ月前の3月、米紙のインタビューに彼が答えた時の発言です。
バノン氏は「5年から10年以内には、アメリカは中国と戦争を起こす。それは疑う余地がない。」と断言しています。さらに、中国だけでなく中東とも戦争になるというのです。
(参考:米ガーディアン紙)
近い将来に第3次世界大戦が始まるのではないかという不安が現実味を帯びてきています。
アメリカ縦断一人旅で学んだ3つのことについて書いた前回の記事はこちらです。もしよかったら読んでください。
この記事であなたに伝えたいこと
トランプ大統領は政治家ではない
武力をもって問題を解決しようという姿勢は、ドラえもんとのび太に暴力を振るって無理やり言うことを聞かせようとするジャイアンと同じです。
トランプ大統領はテロ対策の強化をうたい、難民や中東・アフリカの7カ国の国民のアメリカ入国を一時禁止する大統領令を発令しました。
しかし、無理やり罪のない人々を排除すれば反発を生み、攻撃すれば反撃され、憎しみは憎しみを生みます。負のスパイラルです。どこかで憎しみの連鎖を断ち切らなければ、永遠に争い続けることになります。
特定の宗教や人種の人たちを排除したり敵対することに力を注ぐのではなく、どうすれば異なる考え、宗教、人種の人達がうまくやっていけるかという政策を考えるのが政治家ではないのでしょうか。
一国の代表であると同時に世界のリーダーでもあるアメリカ大統領の発言はとても重いです。インターネット上で特定の国や会社を罵しったり、差別を肯定するような言動は、とてもアメリカ大統領のものとは思えません。
トランプ大統領は、政治家ではなく、ただの自己中心的なビジネスマンなのです。
ただエサを与えるのではなく、釣り方を教えることが大事
DAREDEMOHERO(誰でもヒーロー)というボランティア団体がセブ島にあります。(http://daredemohero.com/)
代表の山中博さんは、「いつやるの?今でしょ。」で有名な林修先生や安河内哲也先生と同じ東進衛星予備校の元カリスマ講師であり、私がセブで働いていた語学学校の最高執行責任者だった方です。
DAREDEMOHEROは、貧困層をただ支援するボランティア団体ではありません。勉強したいのに家庭環境や学費が原因で勉強できない子供たちの教育に力を入れています。
その子供たちが将来フィリピンの政財界の中心になれるような教育を行い、フィリピン史上初の貧困層出身の大統領を輩出して国を改革する、という壮大な計画と目標を掲げ、貧困層の子供たちを支援しているのです。
ボランティアというと、炊き出しをして食べ物を配ったり、衣類などの生活に必要なものを配るなど、日々の生活に困っている人達に無償でモノを与えるというのが一般的です。しかし、貧困層の人達からすれば、モノを与えてもらうというのは、ほんのいっ時の幸せです。
もっと根本的な問題を解決しなければ、結局、その人達はただ物乞いをすることでしか生きていけなくなってしまいます。
私は、セブ島の起業家から、「ただ魚を与えるのではなく、釣り方を教えることが大事」だと教えていただきました。食べ物に困っている人が食事を与えてもらったら嬉しいですし、その時のお腹は満たされます。しかし、しばらくすればまたお腹は空きます。
それよりも、今後ずっと食事に困らずに生きていくためには、どうすれば魚が釣れるのかという釣り方を教えてもらった方が、はるかに役立つということです。
それまでの私は、単純に「ボランティア活動は素晴らしい」としか思っていなかったので、ボランティアに対する見方が180度変わりました。
ただ一時的に物(魚)を与えただけで一番満足をしているのは、物を与えられた貧しい人々ではなく、短期間だけボランティアに参加して「何かをやり遂げた気分」になっている参加者なのではないか。それはただの自己満足なのではないだろうか。
貧しい人達が自立して生活を安定させられるようになる方法を考え、その方法を教えていく教育こそ大事なのではないか。そう思ったのです。
教育こそ、世界を変えるためにあなたが使える最強の武器
日本も同じ傾向がありますが、フィリピンでは富裕層と政治家とのつながりが深く、それぞれに大きな利権を牛耳っていて、政治家は富裕層からしか生まれません。
ドゥテルテ大統領が就任してから、やっと麻薬や汚職の撲滅運動が始まりましたが、フィリピンではまだまだ政治家や公務員などの汚職がはびこっています。賄賂などの裏金を払わなければ、あらゆる手続きが進みません。
それではいつまで経っても経済格差はなくならず、貧しい層の人々は貧困から抜け出すことができない。この国のそんな構造を変えるために、DAREDEMOHEROは貧困層から大統領を輩出するという大きな目標を掲げているのです。
私も何度かDAREDEMOHEROのスタディツアーに参加させていただいたのですが、教育支援をしている施設内に飾られていた言葉に深く感銘を受けました。
Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.
〜教育こそ、世界を変えるために用いることができる最強の武器である〜
ノーベル平和賞を受賞した南アフリカ共和国の政治家、ネルソン・マンデラ元大統領の言葉です。
まさにDAREDEMOHEROの理念を表している言葉だと思いました。世界の根深い問題を解決するために戦争などの争いを起こすのではなく、教育によって変革を起こすという考えに、私は心から賛同します。
会社などの組織も国も、人によって栄え、人によっては衰退します。国の未来を担う子供たちの教育こそ、国家が最も力を注ぐべきことです。
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2児の母である私が親子留学先、移住先にフィリピンのセブを選んだ理由について書いた記事はこちらです。もしよかったら読んでください。