子どもが「これをやりたい」と言ったとき、内心「えっ、それ大丈夫?」と思ったことのある方は、きっと少なくないはずです。
応援したい気持ちと、心配な気持ち。その間で揺れながら、私たち親は毎日小さな判断を重ねています。
10月13日の夜、家庭教育コンサルタントの岩田かおりさんと、「自分で人生を選ぶ子の育て方」をテーマにオンラインで対談ライブを開催しました。子どもの年齢も住んでいる場所もさまざまな保護者の方が、夜遅くに集まってくださいました。
こんな方に届いてほしい記事です。
- 子どもの「やりたい」を、どこまで応援していいか迷っている方
- つい先回りして、口や手を出してしまう方
- ゲームやYouTubeなど、子どもの「好き」をどう扱えばいいか悩んでいる方
1時間のライブでは、伝えきれなかったことや、話しそびれてしまったこともたくさんありました。
この記事では、当日お話しした内容に、ライブでは伝えきれなかったことも書き加えてお伝えします。
この記事であなたに伝えたいこと
岩田かおりさんとの対談ライブを開催しました
岩田かおりさんは、株式会社ママプロジェクトJapanの代表で、家庭教育コンサルタント。『戦略的ほったらかし教育』シリーズは累計7万部を突破しています。
かおりさんとの出会いは、約5年前に時事通信さんから一緒に取材を受けたことでした。そのあと偶然、かおりさんの2番目のお子さんと私の息子がN高の同級生だと分かり、同級生ママでもあったという縁です。
今年の夏には、セブ島で開催した『ジュニアビジネス留学』サマーキャンプに、かおりさんが教育アドバイザーとして参加してくださいました。そしてこの冬のクリスマスキャンプでは、かおりさんが監修・指導する保護者向けプログラム「ライフデザイン・リトリート」もご一緒します。

今年の夏の第13期キャンプ(セブ島)で、かおりさん(左)と
当日は、かおりさんが進行役、私がゲストという形で、次のテーマについてお話ししました。
- 子どもが「やりたい」と言ったとき、親はどうしたか
- 失敗しそうなとき、どこまで見守ったか
- 「好き」をどう学びにつなげたか
- 親が「あえてしなかったこと」
子どもが「やりたい」と言ったとき、親はどうしたか
中学2年生での起業、そして「学校に行かない」という相談
息子のコンドウハルキは、中学2年生のときにデザイナーとして起業しました。
起業そのものには、私はそれほど驚きませんでした。本人が挑戦したいなら頑張れ、という気持ちでした。
実は、私が驚いたのはその後です。ビジネスに本気で取り組むなかで、ハルキから「学校に行かずに、ビジネスにフルコミットしたい」と相談されました。
学校が嫌だったわけではありません。学校も楽しんでいたし、成績もよかった。だからこそ、その道を選ばないのは機会を失うことになるのでは、と悩みました。どの道がこの子にとって正解なのか、親には分かりません。
面倒だから行かない、というような理由だったら、しっかり話し合おうと思っていました。そこで、本人に「不登校」を選択する理由をプレゼンしてもらいました。
話を聞いてみると、息子は私が思っていた以上に深く考えていて、決意も固いものでした。
それなら、この先どう転んでも応援しよう。
そう決めて、全面的に応援することに振り切りました。
いちばん伝わったのは「本気」だった
ライブ中、参加者の方から「中学生起業のプレゼンで、一番刺さった要素は何でしたか?」という質問をいただきました。
答えは、本人が本気だということが、言葉から伝わってきたことです。
息子は、学校に行かないと決める前から、すでに行動していました。大手のクラウドソーシングは年齢制限で登録できなかったため、14歳でも使えるサービスを自分で探して仕事を始めました。私が「親の名前でやれば?」と言っても、自分でやりたいの一点張りでした。
昼は学校と部活。帰ってきてから朝方までデザイン。100社に営業して、やっと1社。しかも1件500円。そんな毎日を、私は少し離れたところから見守っていました。
あの相談は、その積み重ねの延長線上にあったのだと思います。
かおりさんのご家庭の場合
かおりさんのご家庭にも、親として「えっ」と思う選択がたくさんあったそうです。お子さんのうち2人は、高校1年生で中退という道を選んでいます。
かおりさんが講座でもよく伝えているのは、子どもが予想外のことを言ってきたときほど、「なるほど〜」と一度受け止めることだそうです。
大人の経験から「大丈夫だよ」「もう少し踏ん張って」と言いたくなる。でも、親が年齢を重ねて身につけてきたことを、子どもに「これくらいできるでしょ」と求めると、かえって傷つけてしまうことがある。その話に、私も深くうなずきました。
親の「当たり前」は、思い込みかもしれない
かおりさんと話していて、私が息子の決断に強い拒否反応を示さなかったのはなぜだろう、とあらためて考えました。
思い当たったのは、フィリピンでの経験です。
私は子ども2人を連れてセブに移住し、4年間、現地の語学学校で校長として学校運営に携わっていました。そこでは毎日のように、日本の常識では考えられないことが起きていました。
地元の大きなお祭りに出たいからと、正社員のスタッフが前日に退職する。お祭りが終わると、また面接を受けに来る。給料の前借りに条件をつけたら、翌月から「家族が入院した」という申請が次々と届く。
その国で事業をさせてもらう以上、郷に入っては郷に従え。受け入れるしかありません。それが私にとって、ちょっとした修行になりました。
自分の常識が通用しない世界がある。自分が「こうあるべき」と思っていることが、そうではないかもしれない。6カ国での留学と、4年間の海外移住を通して、私は、場所や国が変われば「常識」が変わることを身にしみて感じてきました。
そして今は、それは「時代」が変わるときも同じだと思っています。
一昔前には当たり前だったことが、今では通用しない。そんなことは、私たちの身の回りにもたくさんあります。もっとさかのぼれば、かつては太陽が地球のまわりを回っているという天動説が常識で、地動説を支持したガリレオは裁判にかけられ、その考えを捨てるよう迫られました。
自分が信じている、いえ、思い込んでいる「当たり前」は、時代とともに変わっていきます。
普通に高校に行って、決まったルートを歩むほうが正解に近い。そんな思い込みが、私の中にも少なからずありました。でもそれは、私の世代の常識でしかないのかもしれません。
新しい時代を感じとる力は、親より子どものほうが優れていることがある。
少なくとも私は、息子を見ていてそう実感しています。
基本的には、新しい世代のほうが優秀だと私は思っています。オリンピックの記録が今も更新され続けているように、短い期間では分かりにくくても、人は世代を重ねるごとに進化しているからです。
だからこそ、子どもだからといって軽く扱うのではなく、その感覚や発想を本気で尊重したい。そう思っています。
息子の選択を受け止められたのも、この思いがあったからだと思います。
失敗しそうなときは
「失敗しそうなとき、どうしていましたか?」という問いには、実は少し答えに困りました。
私は、失敗をあまり失敗だと思っていません。むしろ、どんどん挑戦して、改善を繰り返せばいいと思っています。
かおりさんはこれを受けて、先回りして止めてしまうのは、危機管理能力が高くて、いつも段取りよく物事を回している優秀なお母さんほど陥りやすい、と話していました。リスクがすぐに見えてしまうからこそ、口を出したくなる。とても納得のいく見方でした。
「好き」を取り上げなかったら、点と点がつながった
最後のテーマ、親が「あえてしなかったこと」。私がお話したのは、「好き」を取り上げなかったことです。
始まりは、小学生のYouTube
息子が中学2年生で起業したと話すと、「昔からデザインが好きだったんですか?」とよく聞かれます。
でも実は、始まりはもう少し前、小学5〜6年生のころでした。息子はスマホで動画を撮って編集し、YouTubeに投稿していたのです。ちょうどヒカキンやはじめしゃちょーなどのYouTuberが一気に注目され始めた時期で、息子も彼らに憧れて「YouTuberになりたい」と言い出しました。
同じことを言う小学生は、周りにもたくさんいました。でも多くの子が「YouTuberなんて稼げるのはほんの一握りだよ」「もっと着実なことを考えなさい」と言われて、そこで止まっていたように思います。
私は「めっちゃいいじゃん、だったら投稿してみれば」と応援しました。
それが将来の仕事につながるかどうかは、分かりません。ただ、好きなことを追いかけてみればいい、という気持ちでした。
その延長線上で、息子はデザインと出会います。
振り返ると、「自分がこれをやりたいと言ったとき、この人は反対しない」と前から分かっていたことが、起業するときの後押しになったのかなと思います。
22歳になった今、AIとクリエイティブの第一線で
その息子は今、22歳。株式会社Harukazeの代表として、デザイン制作の会社を経営しています。
最近は、生成AIとデザインを組み合わせた取り組みで注目していただく機会が増えました。
- デザイン専門誌『日経デザイン』(日経BP)2026年10月号の特集1「バイブデザインの現在地」で取材を受け、AIを使ったデザイン制作の仕組みが3ページにわたって紹介されました
- 10月に開催した無料オンラインセミナー「AI DESIGN FESTIVAL」には、3日間で累計5,763名の方に参加していただきました
- アドビの公式番組「CREATOR KITCHEN supported by Adobe」Season2に引き続き、Season3でもメインコメンテーターとして出演しています
- 2026年7月には、初の著書『ズルいほど稼げるデザイナーの仕事術』(KADOKAWA)を出版しました

『日経デザイン』2026年10月号(日経BP)

記事では「生成AIとの付き合い方3カ条」も紹介されています
AIで誰でもデザインを作れるようになった今、デザインの世界には新しい課題が生まれています。制作会社に頼めば品質は確かでも、時間と費用がかかる。AIやツールで自作すれば速いけれど、仕上がりが仕事で使える品質なのか、自分では判断しにくい。
息子の会社は、この「外注するか、自作するか」の二択しかない状況こそが、デザイン業界の構造的な課題だと考えています。そこで、制作会社が毎日の仕事で使っている判断の基準と制作の手順をAIに組み込み、事業者が自分たちで、仕事に使える品質のデザインを作れる仕組みづくりに取り組んでいます。日経デザインで紹介されたのも、その取り組みです。
AIが作る時代だからこそ、何を良しとするかを判断する力が問われる。息子はそこから、デザインの仕事のあり方そのものを変えようとしています。

3日間の好評を受けて追加開催した「AI DESIGN FESTIVAL」総まとめセミナー。3日間の参加者は累計5,763名にのぼり、Xでは何度もトレンドやニュースになりました

アドビ公式番組「CREATOR KITCHEN supported by Adobe」Season3の第1回。手描きのイラストから、Adobe Fireflyでマスコットを作りました
小学生のころ、スマホで動画を編集していたあの時間が、今の仕事にまっすぐつながっている。そう感じることがあります。
子どもが突拍子もないことを言い出したとき、それが直接仕事になるかどうかは、いったん置いておく。どこかにつながるかもしれない、という目で見守っていると、あとから点と点が線でつながっていく。
伏線回収のような人生が、その先にあるのだと思います。
かおりさんの「あえてしなかったこと」
かおりさんの「あえてしなかったこと」は、宿題をやったかどうかや、定期テストの日程・点数を親が確認しないことでした。
それは子ども自身が把握して、管理するべきこと。親が把握し始めると、子どもは追い立てられているように感じてしまう。もちろん、夕食後は宿題の時間にするといった環境づくりはするけれど、細かく管理はしない。
私は言ってしまっている気がします(笑)。でも、とってもよく分かる話でした。
好きは、出会わないと分からない
参加者の方から、「好きなことに夢中になれている子や親は、選択肢をどのように見つけているのか」という質問もいただきました。
かおりさんの答えは、「ベストの選択肢は現れない。ベターな選択肢を、ベストに育てていく」というものでした。仕事も、パートナーも同じ。完璧なものを探すより、選んだものを一緒に良くしていく。
私は、自分が何を好きかは、それに出会ってみないと分からないと思っています。
たとえば、好きな食べ物を聞かれて「パエリア」と答えられるのは、パエリアを食べたことがある子だけです。選択肢を広げてくれるのは、経験だと思います。
子どもが自分一人の力だけで視野を広げ、選択肢や可能性を増やしていくのは、大人が思う以上にハードルが高いことです。知らない世界は、そもそも選びようがないからです。
「こんな世界があるんだ」「こんな道があるんだ」。そう実感できる環境を用意できるのは、親だと思っています。
親の言葉より、少し年上の先輩の一言
かおりさんからは、子どもには5〜10歳くらい年上の先輩から刺激を受ける機会が大切だ、という話もありました。
これは、ジュニアビジネス留学のキャンプで私がいつも感じていることでもあります。大人の私が言う言葉よりも、高校生起業家や大学生起業家など、10代から20代前半のメンターのお兄さん、お姉さんの一言のほうが、子どもたちにはずっと響きます。目の輝きも、取り組み方も、まったく違うのです。

今年の夏の第13期キャンプ(セブ島)で、子どもたち、メンター、スタッフ全員で
実は、私の娘もキャンプにずっと参加してきて、今では自分から「メンターをやりたい」と言い、面接を経てメンターになりました。

第13期キャンプを終えて、成田空港で。左が高校2年生の娘、右が息子のハルキです
親が言うと角が立つことも、第三者から言ってもらうと素直に受け取れる。そんな「第3の居場所」を用意したくて、私はこの仕事を続けています。
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よくある質問
Q. 子どもが「学校に行かずに起業したい」と言ったら、親はどうすればいいですか?
まずは、その理由を本人にプレゼンしてもらうことをおすすめします。これは起業に限らず、「習い事をやめたい」「部活を変えたい」と言われたときも同じです。面倒だからという理由なのか、深く考えたうえでの決断なのか。言葉で説明してもらうと、親も子どもも気持ちを整理できます。わが家では、息子が学校に行かないと決める前から自分でやりたいことに挑戦し、100社に営業していた姿を見ていました。言葉と行動の両方から本気が伝わってきたので、全面的に応援すると決めました。
Q. 子どもの「好き」が将来につながるか分からないときは、どう向き合えばいいですか?
目の前の「好き」が直接仕事になるかどうかは、いったん置いておくことだと思います。たとえばゲームが好きな子なら、「どこが面白いの?」「自分なら、どんなゲームを作る?」と聞いてみる。遊ぶ側から作る側に目を向けるだけで、「好き」は学びの入り口に変わります。息子も小学生のころはYouTubeに夢中でしたが、その延長でデザインと出会い、中学2年生で起業しました。何かに夢中になった経験は、テーマが変わっても力になります。「好き」を取り上げずに見守っていると、あとから点と点が線でつながることがあります。
Q. 子どもの選択肢を広げるために、親にできることは何ですか?
いろいろな出会いや経験の機会を用意することです。好きな食べ物を聞かれて「パエリア」と答えられるのは、パエリアを食べたことがある子だけ。仕事や生き方も同じで、知らないものは選べません。行ったことのない場所へ出かける、親の友人や仕事仲間の話を聞く、地域のイベントに参加してみる。特別なことでなくても、「こんな世界があるんだ」と実感できる機会は、日常の中でつくれます。子どもが一人の力で視野を広げるのはハードルが高いので、幅広い分野で活躍する先輩と出会える場も含めて、その入り口をつくるのが親の役割だと思っています。
ライブでお伝えしたご案内
対談ライブの最後には、ジュニアビジネス留学のご案内もさせていただきました。
この冬のクリスマスキャンプ(茨城県つくば市・12月25日〜28日)は、おかげさまで満員となっています。JAXAの見学など、最先端の研究が集まる街で、子どもたちが自分のビジネスアイデアを形にします。
来年の夏のセブ島キャンプは、2027年7月31日から8月8日の予定です。内容が決まりましたら、また早めに説明会でお知らせします。

今年の夏の第13期キャンプでは、保護者の皆さんもセブ島で一緒に過ごしました

キャンプ中、保護者の皆さんと(セブ島)
キャンプの時期以外にも、ジュニアビジネス留学にはオンラインコースがあります。家にいながら、子どもが自分の「好き」を起点に考え、形にしていく時間です。10月18日(日)21時からは、オンラインコースの説明会を開催します。
かおりさん、そしてご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました。
子どもが何か言ってきたら、答えを言う前に「あなたはどうしたい?」と一度だけ聞いてみてください。それだけで、子どもは自分で考え始めると思います。
オンラインコースが気になる方は、ぜひ説明会をのぞいてみてください。
【オンラインコースの説明会はこちら】
▼ 来年の夏休み、セブ島サマーキャンプ(第15期)を検討中の方へ
2027年7月31日(土)〜8月8日(日)8泊9日の開催が決まりました。募集開始・説明会・早割のご案内を、一般公開より先にお届けします(無料)。
▼ ジュニアビジネス留学のことを、もっと知りたい方へ
キャンプ・オンラインコース・留学相談の全体像と、参加者の声はこちらにまとめています。
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