「小学1年生が、ビジネスプランを発表するんですか?」
企画の段階で、何度かそう聞かれました。私自身、少しだけ心配していました。
2026年8月29日、渋沢栄一翁の生誕地である埼玉県深谷市で、「SHIBUSAWA CUP 〜ジュニアビジネスチャレンジ〜」の第1回予選大会を開催しました。深谷商工会議所青年部(深谷YEG)地域活性化委員会の事業で、私は委員長として企画から当日の運営までを担当しています。
全国から集まった応募は10チーム・35名。当日は小学1年生から大学3年生までの9チームが、自分たちで考えたビジネスプランを、3分間の発表と2分間の質疑で審査員にぶつけました。
結果からお伝えすると、審査の点差はごくわずかの僅差でした。
この記事では、当日何が起きたのか、審査でどこを見たのか、そして選ばれた5チームがこれからどこへ向かうのかを、企画した側からそのままお伝えします。
こんな方に届いてほしい記事です。
- お子さんの起業家教育・キャリア教育に関心のある保護者の方
- SHIBUSAWA CUPの予選結果や、11月の産業祭の出店情報を知りたい方
- 地域で子ども向けのビジネスコンテストを立ち上げたいと考えている方
5分ほどで読めます。

この記事であなたに伝えたいこと
SHIBUSAWA CUPとは?渋沢栄一の生誕地で開く、小中高大学生のビジネスコンテスト
SHIBUSAWA CUPは、深谷商工会議所青年部が令和8年度の地域活性化事業として立ち上げた、全国の小学生から大学生までを対象としたビジネスコンテストです。第1回となる今年は、3名以上のチーム単位で、参加費無料で応募を受け付けました。
背景にあるのは、AIの発展で社会が大きく変わるなかで、正解のない問いに挑み、自分で価値を生み出せる人をどう育てるか、という課題です。文部科学省と経済産業省は起業家教育の普及を進めていますが、学校現場だけで実装するには限界があります。そこを地域の産業界が引き受けよう、というのがこの事業の出発点でした。
大会には、2つのステージがあります。
- STAGE 1(予選):2026年8月29日(土)/深谷公民館大会議室。ビジネスプランの発表
- STAGE 2(本選):2026年11月7日(土)・8日(日)/深谷市産業祭で、実際に出店
予選で選ばれた5チームには、産業祭への出店権と、ビジネス資金10万円が贈られます。プランを考えて終わりではなく、自分たちが考えたものを、お客さまに届けて対価をいただくところまでやります。ここがこの大会のいちばんの特徴だと思っています。
大会のミッションは、応募のあった全チームに事前にお伝えしてあります。
渋沢栄一のマインドを受け継ぎ、深谷市を活性化させる「SDGsビジネス」を発掘せよ!
渋沢栄一(Shibusawa Eiichi, “the Father of Japanese Capitalism”, 2024年から日本の1万円札の肖像)は、約500の会社と約600の社会事業を立ち上げ、「日本資本主義の父」と呼ばれる大起業家です。その渋沢が残した考え方が「道徳経済合一説」、いわゆる三方良しの思想でした。利益を出すことと、世の中の役に立つこと。この2つは対立するものではなく、両立させるものだという考え方です。
だからこそこの大会は、「儲かるかどうか」だけでも「良いことをしているかどうか」だけでも勝てない設計にしました。
大会を立ち上げた経緯や、地域通貨「ネギー」で利益を還元する仕組みについては、募集時の記事に詳しく書いています。
全国の小中高大学生ビジネスコンテスト「SHIBUSAWA CUP」深谷開催(募集時の記事)
全国から応募10チーム・35名。深谷市内と市外から半々でした
5月に募集を始めたときは「応募がゼロだったらどうしよう」とヒリヒリしていました。事業承認から募集開始までの日程がかなりタイトで、告知の期間が十分に取れないまま走り出した企画だったからです。
それが、応募締切の8月20日までに、全国から10チーム・35名。小学1年生から大学3年生までと幅広く、深谷市内のチームと市外のチームがちょうど半々でした。海外在住のメンバーがいるチームもあり、ジュニアビジネス留学の卒業生の顔もちらほら。遠方から深谷まで挑戦しに来てくれることが、とっても嬉しかったです。
当日は、応募10チームのうち1チームが諸事情により辞退となり、9チームがビジネスピッチに挑みました。
予選当日|深谷市長「ふっかちゃんも、子どものアイデアから生まれた」
当日は、一般の方も観覧できる形で開催しました。

主催者あいさつは、審査員長を務めた深谷商工会議所青年部 会長の岡田高和氏(セイフル株式会社 代表取締役社長)。続いて、ご来賓として深谷市長の小島進様よりごあいさつを頂戴しました。


印象的だったのが、ふっかちゃんのお話です。今や老若男女に愛される深谷の大人気ゆるキャラふっかちゃんも、もとは子どものアイデアから生まれたキャラクターであること。そして深谷市は、これからも子どもたちのアイデアを積極的に採用して、もっと「面白い街」にしていきたいということ。
これから発表に挑む子どもたちにとって、これ以上ない後押しだったと思います。自分の考えたことが本当に街を動かすかもしれない、と信じられる状態で登壇できたのは、大きかったはずです。
子どもたちが考えたビジネスプラン
当日発表されたプランの一部をご紹介します。
- 子どもがハッピーで健康になるブロッコリー縁日
- 廃棄野菜をガチャガチャで届けるアイデア
- 深谷の煉瓦をモチーフにした食べ歩きカステラ
- 老若男女が楽しめる新しいスポーツゲーム
- 生産量日本一のブロッコリーでつくる新名物
- 家族の時間を取り戻す、子どもの気持ち・投資かるた
- 福祉施設と飲食店と大学、3者でつくるホットドッグ
などなど、どのプランも素晴らしくて、審査は本当に僅差でした…!
「深谷を活性化させる」というひとつのお題に対して、特産品、食品ロス、観光、福祉と、まったく違う入り口から答えを持ってくる。大人の会議では、なかなか出てこない角度でした。



審査はどう行われたのか|5つの評価軸と4名の審査員
審査は、岡田会長を審査員長とする4名の審査員が、次の5つの観点で採点しました。
- 創造性
- 実現可能性
- 社会性(道徳×経済)
- 予算計画
- プレゼン力
この審査基準はキックオフ説明会の段階で応募者全員に事前共有しています。当日になって初めて基準を知る、という状態をつくらないためです。えこひいきを疑われない設計にしておくことは、子どもが本気で挑む場では欠かせないと考えています。
そして、このうち最も配点を重くしたのが「社会性」です。渋沢栄一の道徳経済合一説を掲げている大会である以上、ここがいちばん重い、というのは動かせないところでした。
もうひとつ、設計でいちばん悩んだのが学年差の扱いです。小学1年生を含むチームと、大学3年生5名のチームが同じ土俵に立ちます。実現可能性と予算計画を素朴に均等配点にすると、年長のチームが構造的に有利になり、低学年のチームが出店枠に入れません。そこで、配点そのものは全チーム共通にしたうえで、「5点をつける目安」を学年帯ごとに書き分ける形にしたのです。
私自身も審査員のひとりでしたが、点差はごくわずか。それでも、全審査員一致で上位5チームが選出されました。


深谷市産業祭に出店する5チームが決定
厳正な審査の結果、産業祭への出店権を獲得したのはこちらの5チームです(学年順・5チームに順位はありません)。
| チーム名 | 学年・人数 | ビジネスプラン |
|---|---|---|
| HAPICO | 小1・小5(保護者含めて3名) | 子どもの気持ち・投資かるた |
| genesis | 中2(3名) | 野菜ガチャビジネス |
| Ocean Mate 3 | 中1・中3・高2(3名) | ふっかすてら |
| We love Yoshikawa | 中2(4名) | ブロッケ |
| 埼玉工業大学 深谷・本庄地域魅力発見プロジェクト | 大学3年(5名) | 地域と福祉のホットドッグ |





そして、今回選ばれなかったチームの皆さんにも、心からお礼を申し上げます。チームを組んで、プランを練って、人前で発表するところまで来たこと自体が、すでに大きな挑戦です。

ここからが本番。11月7日・8日、深谷市産業祭へ
選ばれた5チームは、11月7日(土)・8日(日)の深谷市産業祭(例年の来場者数8〜10万人)で実際に出店します。自分たちが考えたプランを、お客さまに届けてその対価をいただく「ビジネス」の形にしていく。ここからが本番です。
各チームには深谷YEGの経営者が2名ずつメンターとして入り、原価はいくらか、いくつつくるのか、いくらで売るのか、当日は誰がどこに立つのかを一緒に詰めています。頭の中にあった企画が、まちの中で本当にお客さまと出会う日に向けて、準備の真っ最中です。
産業祭にお越しの際は、ぜひ子どもたちのブースに立ち寄ってみてください。小学1年生が考えたかるたが、8〜10万人が訪れるお祭りの中に並びます。
数字で見る SHIBUSAWA CUP 第1回
| 応募 | 全国から10チーム・35名(小学1年生〜大学3年生) |
|---|---|
| 予選 | 2026年8月29日(土)/深谷公民館大会議室/9チームがピッチ |
| 審査 | 審査員4名・5軸(創造性・実現可能性・社会性・予算計画・プレゼン力) |
| 本選出場 | 5チーム(順位なし・ビジネス資金10万円) |
| 本選 | 2026年11月7日(土)・8日(日)深谷市産業祭(例年の来場者数8〜10万人) |
第1回 SHIBUSAWA CUP のあゆみ
- 2026年4月:深谷YEG役員会で事業承認
- 2026年6月6日:キックオフ説明会(参加15名・その場で6組が応募を決定)
- 2026年8月20日:応募締切(全国から10チーム・35名)
- 2026年8月29日:STAGE 1 予選大会@深谷公民館(9チームがピッチ・5チームを選出)
- 2026年11月7日・8日:STAGE 2 本選@深谷市産業祭(5チームが実際に出店)
企画して、あらためて感じたこと
実は今回、ジュニアビジネス留学の卒業生が、埼玉県内の他の自治体からわざわざ駆けつけて応募してくれました。深谷市在住でも在学でもない子たちです。
キャンプでもオンラインでも、私たちがずっと言っているのは、才能があったから挑戦できるのではなく、きっかけに出会えたから挑戦できる、ということです。今回の予選は、深谷の子にとっても、市外から来た子にとっても、そのきっかけのひとつになったのだと思います。
子どもたちは、私たち大人が思っている以上に可能性を秘めています。必要なのは、その可能性を引き出す環境ときっかけだけ。9チームの発表を見て、あらためてそう感じました。
SHIBUSAWA CUPについてよくある質問
Q. SHIBUSAWA CUPとは、どんな大会ですか?
A. 深谷商工会議所青年部(深谷YEG)が主催する、全国の小学生から大学生を対象としたビジネスコンテストです。8月の予選(ビジネスプランコンテスト)と11月の本選(深谷市産業祭での実践出店)の2段階で構成され、予選で選ばれた5チームには実践予算10万円が支給されます。参加費は無料です。
Q. 第1回の予選で選ばれたのは、どのチームですか?
A. HAPICO、genesis、Ocean Mate 3、We love Yoshikawa、埼玉工業大学 深谷・本庄地域魅力発見プロジェクトの5チームです。5チームに順位はありません。
Q. 本選はいつ、どこで行われますか?
A. 2026年11月7日(土)・8日(日)、深谷市産業祭の会場で5チームが実際に出店します。どなたでもご来場いただけます。
Q. 審査は誰が、どんな基準で行いましたか?
A. 深谷YEG会長を審査員長とする4名の審査員が、創造性・実現可能性・社会性(道徳×経済)・予算計画・プレゼン力の5つの観点で採点しました。審査基準は事前に応募者全員へ共有しています。
Q. 深谷市に住んでいなくても参加できますか?
A. できます。第1回は全国から募集し、深谷市内と市外のチームが半々でした。海外在住のメンバーがいるチームもありました。
Q. 第2回はいつ開催されますか?
A. 第2回の開催は未定です。決まり次第、当ブログと深谷YEG公式サイトでお知らせします。
「うちの子にも、こんな挑戦をさせてみたい」と思った方へ
SHIBUSAWA CUPの第1回の応募は締め切りましたが、「アイデアをカタチにしてみたい」というお子さんの気持ちに、締切はないですよね。
私が代表を務めるHANA’S ACADEMIAでは、小中高生向けの起業家教育プログラム「ジュニアビジネス留学」を運営しています。この冬は12月25日〜28日、つくば研究都市で第14期のビジネスキャンプを開催します。遠方の方や、まずは家から始めたい方には、小学1年生から高校3年生まで参加できるオンラインコースもあります。
お子さんが少しでも興味をもったら、そのタイミングを逃さずに背中を押してあげてください。
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