11月7日(土)・8日(日)、深谷市産業祭で「SHIBUSAWA CUP 〜ジュニアビジネスチャレンジ〜」の本選が開かれます。8月の予選を勝ち抜いた小学1年生から大学3年生までの5チームが、例年8〜10万人が訪れるお祭りの中で、本当にお店を出して自分たちのビジネスに挑戦するのです。
この記事では、主催する深谷商工会議所青年部(深谷YEG)地域活性化委員会の委員長として、大会が目指していること、出店する5チームのビジネスプラン、そして本選を前に自分たちでPRに動き、新聞の取材につなげた中高生チーム「Ocean Mate 3」の取り組みをご紹介します。

この記事であなたに伝えたいこと
SHIBUSAWA CUPが目指していること
SHIBUSAWA CUPは、渋沢栄一翁の生誕地・深谷市で、深谷YEGが令和8年度の地域活性化事業として立ち上げたビジネスコンテストです。対象は全国の小学生から大学生まで。第1回となる今年は、10チーム・35名から応募がありました。
本大会のミッションは、こちらです。
渋沢栄一のマインドを受け継ぎ、深谷市を活性化させる「SDGsビジネス」を発掘せよ!
渋沢栄一が残した「道徳経済合一説」は、利益を出すことと、世の中の役に立つことを両立させるという考え方です。
起業家教育は大切だと言われながら、学校の中だけで「実際に売ってみる」ところまで取り組むのはなかなか難しいのが現実。だからこそ、地域の経営者が集まる青年部がその場を引き受けよう、というのがこの大会の出発点でした。
SHIBUSAWA CUPは、2つのステージで構成しています。
- STAGE 1(予選・8月29日):ビジネスプランを発表し、審査員4名が審査
- STAGE 2(本選・11月7日・8日):深谷市産業祭で、実際に出店して販売
予選を通過した5チームには、活動資金10万円と産業祭への出店権が贈られ、深谷YEGの経営者が2名ずつメンターとして伴走します。プランを考えて終わりではなく、お客さまに届けて対価をいただくところまでやる。ここがこの大会のいちばんの特徴です。
本選に出店する5チームのビジネスプラン
小学1年生から大学3年生まで、学年も住んでいる地域も多様な5チームです(学年順・予選時の企画名)。
- HAPICO(小1・小5/保護者含めて3名)「子どもの気持ち・投資かるた」:家族の時間を取り戻すかるた
- genesis(中2/3名)「野菜ガチャビジネス」:捨てられてしまう野菜を、ガチャガチャで楽しく届ける
- Ocean Mate 3(中1・中3・高2/3名)「ふっかすてら」:深谷のブロッコリーと大和芋を使った、ふっかちゃんの焼印入りカステラ
- We love Yoshikawa(中2/4名)「ブロッケ」:深谷のブロッコリーの食品ロスを生かしたコロッケ
- 埼玉工業大学 深谷・本庄地域魅力発見プロジェクト(大学3年/5名)「地域と福祉のホットドッグ」:福祉施設のベーカリー、地元のイタリアン、大学の3者でつくるホットドッグ
かるた、野菜ガチャ、カステラ、コロッケ、ホットドッグ。同じ「深谷を元気にする」というミッションから、これだけ違うビジネスが生まれました。予選の点差はごくわずか。それでも、全審査員一致で上位5チームが選出されました。
予選の様子はこちらにまとめています。
自分たちでPRに動いた中高生チーム「Ocean Mate 3」
本選に向けて、どのチームも準備を進めています。その中で、ひときわ積極的に動いているのがOcean Mate 3です。
3人は自分たちでプレスリリースを書き上げ、千葉や埼玉の記者クラブに持参しました。親の力を少し借りながらも、9割は自分たちで1から書いたそうです。その行動が実を結び、11月1日には熊谷経済新聞さんの取材を受けました。
売るものをつくるだけでなく、知ってもらうところまで自分たちでやる。大会が届けたかった「実践」を、本選の前から形にしてくれているチームだと思います。

セブ島で出会った3人
Ocean Mate 3は、千葉県に住む高校2年生と中学3年生、そしてフィリピン・セブ島に住む中学1年生の3人チームです。
実は3人とも、深谷とはもともと縁がありません。出会ったのは、2026年夏にセブ島で開催した『ジュニアビジネス留学』第13期のビジネスキャンプでした。意気投合した3人はキャンプ内のプレゼン大会で最優秀賞を獲得し、「次のステップ」としてSHIBUSAWA CUPに応募してくれたのです。キャンプの運営者としても、とっても嬉しい出来事でした。

商品は2種類の「ふっかすてら」
完成した「ふっかすてら」は2種類です。どちらも1個300円で、産業祭だけの限定販売です。
- 抹茶ブロッコリーかすてら:米粉に抹茶とブロッコリーパウダーを合わせた、深い緑色のかすてら
- 大和芋のもちもちかすてら:米粉に大和芋を練り込んだ、もちもちでなめらかな食感のかすてら
深谷の象徴といえば、渋沢栄一とふっかちゃん。「渋沢栄一×カステラ」と「ふっかちゃん×カステラ」の両方で考えてみて、語呂がよくてかわいいのは「ふっかすてら」だった。名前が出た瞬間に、全員で「これだ!」となったそうです。

なぜブロッコリーと大和芋なのか
「深谷といえば?」と聞くと、ほとんどの人が「深谷ねぎ」と答えます。でもチームが調べてみると、深谷はブロッコリーの作付面積と産出額で、市町村別の日本一(農林水産省のまとめ)。大和芋もつくっている。それなのに、深谷ねぎを使ったお菓子はよく見かけるのに、ブロッコリーや大和芋のお菓子はほとんど見かけない。
だからこそ、「深谷ってブロッコリーや大和芋もすごいんだ!」と知ってもらいたい。ネギだけじゃない深谷を届けたい。これがチームの出発点です。
チームのプレスリリースには、こんな発見も書かれていました。渋沢栄一は、千葉を走る総武鉄道の建設にも資金を援助していたそうです。一見縁のない千葉と深谷は、渋沢栄一を通してつながっていた。リリースは「渋沢栄一に続け!」という言葉で締めくくられています。

失敗の連続から、西倉西間堂さんとの出会いへ
一番つまずいたのは、つくる場所でした。予選の段階では「自分たちの家で400個つくる」計画でしたが、家で試作すると生地が水っぽくなったり、ブロッコリーの青臭さが出たり。家で400個は現実的ではない、という指摘も受けました。
製造してくれるお店を探し始めたものの、まず親に断られ、30社以上の企業にメールを送っても返事が来ない。試作品も、生地が膨らまない、ブロッコリーの緑が消えてしまう。そんなチームを助けてくださったのが、深谷市の老舗和菓子店「西倉西間堂」の西倉社長でした。社長も最初は迷われたそうですが、実際に会って熱く訴えられ、「それなら一緒にやってみよう」と決めてくださいました。
ブロッコリーだけでは色も味も出なかったため、「緑色のお菓子」を調べて抹茶を合わせることに。まずブロッコリーの量を決めてから抹茶を加える、という順番で試作を重ねて、いまの緑のかすてらができあがりました。
メンターに教わった「遠くからでも目立つ」お店づくり
担当メンターから教わったのは、商品よりも「どうすればお客さんに足を止めてもらえるか」でした。ブースの真ん中だけを飾る予定だったところ、上・中・下の3段で色をそろえたほうが全体の見栄えがよくなること。茶色の地に黒い文字で書いてみたら、「茶色と黒は遠くから見たら全く目立たないよ」と。
大人にとっては当たり前のことかもしれません。でも、自分たちで書いてみて、指摘を受けて、直す。この経験は、教科書を読むだけでは得られないと思います。

11月7日・8日、5つのブースで会いましょう
Ocean Mate 3の目標は完売です。「売るだけだったら、周りとそんなに差は出ないと思う。だから宣伝でお客さんを引き寄せたい」。西倉社長も「本人たちが一番熱くなっている商品なので、当日は絶対完売すると思います」と話してくださいました。
ほかの4チームも、それぞれのやり方で本選に向けた準備を進めています。小学1年生が考えたかるたも、大学生が地域と組んだホットドッグも、8〜10万人が訪れるお祭りの中に並びます。
自分の考えたことが本当に街を動かすかもしれない。この大会でいちばん届けたかったのは、その手ごたえです。小学生から大学生までの5チームがその手ごたえをつかむ2日間を、ぜひ会場で見守っていただけたら嬉しいです。本選の様子は、終わったあとにこのブログでレポートします。

SHIBUSAWA CUP 本選の概要
- 日程:2026年11月7日(土)・8日(日)
- 会場:深谷市産業祭
- 出店:予選を勝ち抜いた5チーム(HAPICO/genesis/Ocean Mate 3/We love Yoshikawa/埼玉工業大学 深谷・本庄地域魅力発見プロジェクト)
- Ocean Mate 3「ふっかすてら」:抹茶ブロッコリーかすてら/大和芋のもちもちかすてら(各1個300円・製造協力:西倉西間堂)
- 主催:深谷商工会議所青年部(深谷YEG)
才能があったから挑戦できるのではなく、きっかけに出会えたから挑戦できる。5チームの挑戦を見ていると、まさにそう思います。HANA’S ACADEMIAのジュニアビジネス留学では、キャンプとオンラインコースで、子どもたちが自分のアイデアをかたちにする場をつくっています。
起業家教育の全体像はこちらの記事にまとめているので、ご興味をお持ちいただいた方はぜひご覧ください。
子ども向けの起業家教育で何が育つのか、家庭でできることは何かは、こちらの記事にまとめています。
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